平和技術研究所が東日本大震災をきっかけに折りたたみ自転車の開発を始めた当時、市販のスーツケースに収納可能な折りたたみ自転車はまだ存在していませんでした。折りたたみ自転車の歴史を紐解くと、その起源は意外にも古く、自転車が発明されて間もない1888年に、米国ペンシルベニア州のエミット・ラッタが世界初の折りたたみ自転車の特許を申請した事例にまでさかのぼります。しかしながら、現在に至るまで市販のスーツケースに収納可能なダイヤモンドフレーム型折りたたみ自転車は登場していないのです。


もしスーツケースに収まるほどコンパクトに折りたためるダイヤモンドフレームの自転車があったら、私たちの想像力は果てしなく広がり、胸の高鳴りを抑えることなどできないでしょう。PATTO BIKE 451の開発中には、解決不可能と思われるような壁に何度もぶつかりました。しかし、数ヶ月後や数年後にふと解決策がひらめいたり、夢の中で新たなアイデアが浮かび、深夜に飛び起きてメモを取ることもありました。この経験を通じて、「物理法則に反しない限り、不可能なことは何ひとつない」という哲学を身に付け、それがやがて私の揺るぎない信念となったのです。この信念に従い、市販のスーツケースに収まるダイヤモンドフレームの折りたたみ自転車を開発するという挑戦を決意しました。
「風のように走り、スーツケースのように転がせる」というPATTO BIKEの最も象徴的なアイデンティティを具現化するために、私たちは数えきれないほどの試行錯誤を重ねてきました。
PATTO BIKE 451の開発を通じて、私たちはもう一つの重要な哲学を身につけました。それは「シンプル・イズ・ベスト」という信念です。この哲学のもと、可能な限りギミックを排し、折りたたみ構造のシンプルさを追求しました。そして、その理念の結晶として、ついにHUGAが誕生したのです。
